小説進撃の巨人 LOST GIRLS
『Lost in the cruel world』―「急いだほうがいい。そうしないと君は二度とエレンくんに会うことができなくなる」ミカサは鏡男の顔を見た。しかしそこに映っているのは歪んだ自分の顔だ。ミカサは呼吸を整え、恐る恐る訊いた。「おじさんは誰なの?」『Wall Sina,Goodbye』―アニはため息をついた。超大型級のため息。こういう一日がある。ほんのささいなことから大きな面倒に巻き込まれるという一日だ。今日はその典型的な一日だ。額に入れて飾ってもいいくらい、見事に典型的だ。『Lost Girls』―日の光はさきほどよりもずっと弱く、窓の外には夕暮れの気配が色濃く漂っていた。静かな風が吹き、樹木の葉を揺らした。「アニ、あなたは何を抱え込んでいるの?」アニはミカサに視線を戻した。そしてまた肩をすぼめた。ミカサの、アニの、あの日の知られざる物語。